短編■ 男子中学生用トラップ
「モリサキー!!」
腹の底から搾り出した大声にぴくりともせず、にやにやした笑みを向ける生徒。
「森崎!あんたっもう今週何回目よ?!」
叱咤しようがお構い無しな緊張感のない態度に、マツリの怒りは頂点を通り越した。
ふざけるな、そう怒鳴ろうとした時――
足音と共に「また森崎かー」と数人の先生が集まってきた。
それを合図に逃避を実行する森崎に「待ちなさいよ!!」と言うも威力はなかった。
残ったのはガラスの抜けたサッシと、床に散らばる透明の破片。
そして、
「また津山先生のクラスか」
―――同僚からの厭味。