短編■ 男子中学生用トラップ
「申し訳ございませんでした」
マツリは職員室でぺこぺこ頭を下げていた。
「謝るのは簡単だよ」「津山先生は生徒の管理がなってない」
厭味に傷付かないよう、ただ謝る。ばかみたいにただ謝る。
「…もういいから、帰りなさい」
「しゅにん……本当に、申し訳ございません…でした」
謝れるだけ謝り倒し、マツリは愛車に乗り込んだ。
苛々が最高潮だ。
どうしてあんな問題児が自分の担当なのだろうか。不公平ではないか。
(森崎さえ居なければテスト平均点トップの優秀クラスなのに!!)
怒り任せにアクセルを踏み、校門を抜け―――
「あいつ!」
マツリが目にしたのは、ストレスの原因の男子生徒と学年1のマドンナの女子生徒。
「キスかよっ!」