短編■ 男子中学生用トラップ
「なんか!すげえ不満なんだけど!なに、じゃあ俺っ……?!」
状況の掴めないリキにマツリは名案だとばかりに歌うように口にした。
「森崎リキ、マーとリキは晴れて両思いだよね?」
こくこくと頷くリキの頭を撫でると、マツリは付け足した。
「マーとリキは先生と生徒。
両思いだけど恋人じゃない。彼氏彼女にはならない。つまりあんたが卒業するまで先生と生徒。それ、理解できる?」
「……散々迷惑かけたし、マツリは先生だし。我慢する」
聞き分けのいいリキに驚いた。強引な彼なら既に今ここで押し倒されているだろうと思ったからだ。
しかし、意外にもマツリの教師という立場を守ろうとしてくれている。