短編■ 男子中学生用トラップ
(これじゃマーが甘えたになりそう)
そう遠くない未来に苦笑いしつつ、マツリはリキの唇に触れる程度のキスをした。
瞬時に赤面する彼は、保健室や更衣室で盛っていた森崎リキと本当に同一人物なのだろうか。
「今のが最後、あんたが高校生になるまでの最後のキス」
「はあ?!ふざけんな!てめぇ俺のこと好きだった癖に」
憤慨するリキを宥める為にマツリは言った。
「証明して。正直女遊び激しかったあんたを、信用できない」
真面目なトーンに、……確かにいくら自分がマツリが初恋だと訴えるも、散々遊んで来たので不安だろう。
リキはほとほと昨日までの自分を情けなく感じながらも、「なんだってする」と言った。
嘘ではない。年下という立場もあり、余計に物分かりのいい大人になりたかったからだ。