短編■ 男子中学生用トラップ
「黒染めして、ピアスは嫌。眉生やして。それから制服もあんまアレンジしないで」
「……はあ?!嫌だね」
むくれるリキに構わず、マツリは駄々っ子のように首を振った。
「やだー格好悪い彼氏なんかやだー!!!」
これが惚れた弱みだろうか。
年甲斐ないマツリの喚く姿を、リキは不覚にも可愛いと思ってしまった。
なので、「無理だ」と言ってみた。
「…禁煙して禁酒して門限9時ね、暴力振るったら別れるから!!
あと苛々短気は嫌、マーは大人なリキに甘えたい!!」
頬を膨らまし、上目使いで自分を見るマツリ―――
「仕方ねえな」
寛大さを見せ付ける為に、リキは呆れた笑顔を作ってみせた。