短編■ 男子中学生用トラップ
自分は白い目で見られて悩んでいると言うのに、そのトラブルメーカーは悠長に夕日の中で青春キスを味わっているのだ。
(むかつくむかつくむかつく森崎)
それに最近マツリは彼氏と別れた。
マツリが苛々しているからと別れを告げられたのだ。
言うまでもないが、苛々の根源は森崎リキである。
(むかつくむかつくクソガキめ)
呪文のように頭で一人の生徒を呪いにかかる。
と、ばっちり目が合った。
「見てんじゃねーよ」と口パクしている。
(ああ、だめだ)
マツリが森崎を苦手な原因は、何も問題児だからというだけな訳ではない。
彼が、あまりにも容姿端麗だからだ。