短編■ 男子中学生用トラップ
「リキくん、お母様いらっしゃる?」
「普通アポとってくるだろ?」
私服姿にドキリとする。
細身のロンTにだぼついたデニム。カジュアルだけど様になる―――
「…電話出ない、から。主任に言われたら行くでしょ。はい来ました、会わせなさい」
いくらか先生口調で言い、親に話があるのだと伝えた。
少し眉を垂らし、森崎は淡く微笑んだ。
「気付かない?俺一人暮らし」
(一人暮らし…?)
マツリは露骨に眉を寄せ、天敵森崎を見た。
彼が嘘をついているようには思えない―――
「…は?中学生なのに?」
思ったよりマヌケな声が出た。