超人戦争
(一月の内に、大戦争が始まる。縦(よ)しやデーモンと同じ末路(まつろ)になろうとも、悔いは無い。戦いあるのみ!)
 サタンは悲壮(ひそう)なる闘志を漲(みなぎ)らせ、挙兵に燃えていた。

 超人軍団の編成が、組まれていく。
 総司令官はサタン、軍師(ぐんし)はゼノン、全軍は第一軍(アメリカ)、第二軍(オーストラリア)、第三軍(ニュージーランド)、第四軍(アフリカ)の四軍に分けられた。この内第一軍が最も兵力が多く、アメリカ大陸方面が、最重要地区と認定された。
 神軍は神を最高司令官とし、十一天使を将軍、人間を兵士として攻撃してくるだろう。或いは超人の特殊(とくしゅ)能力に対抗すべく、他の星の天使も加勢(かせい)するかもしれない。
 サタンを仰(あお)ぐ超人軍は、飽(あ)く迄も南極を死守する構えである。配陣(はいじん)を終え、万全を期して待機(たいき)している超人達に、サタン直筆(じきひつ)の檄(げき)文が通達された。開戦の詔(みことのり)とも形容すべき文には、対神戦に至る経緯(けいい)が記してあり、大義(たいぎ)名(めい)分(ぶん)が、はっきりと書いてある。岩に刻まれた内容は、以下のとおりであった。
「神は超人を、絶滅せんと欲している。我々は今こそ真の地球生物の長は誰かを、神、天使、人間に知らしめねばならない。我々には、生きる権利が有る。南極は我々の土地であり、我々より劣等なる人間に、地球は任せられない。弱肉強食こそ自然の法則であり、これを破るものこそ悪である。この度の戦いによって我々は地球の王者となるか、消え去るか、自ら選択(せんたく)するのだ。我々は超人による、超人の為の世界を、母なる地球に建設する。たとえ神であろうと、我々の邪魔をする事はできない」
 神前(しんぜん)会議開催予定の前夜、サタンは総司令本部に四軍の司令官及びゼノンを召(め)し、作戦会議を設(もう)けた。
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