超人戦争
「アフロンを解任するのではなく、デーモン様をサタン様の特任参謀として派遣していただければ」
「うむ。ではアフロン司令官とガルス参謀長に、デーモンの指示を仰(あお)ぐよう下命(かめい)しよう。デーモンの言葉を、私の命令と思えとな」
「有り難う御座(ござ)います。必ずやアルスを陥落(かんらく)させてみせます」
「敵のアルス軍は、ネシアが率いている。ネシアは超人敵視(てきし)の主唱者だ。その首をあげれば、ケミンなど立ち木が枯(か)れるが如く、自然に朽(く)ち果てる。頼んだぞ」
「お願い致します」
「はっ。早速今夜にでも第二軍本営へ、向います」
 アメリカ、アフリカ方面の敵軍は、手強い。オーストラリアを攻陥(こうかん)すれば、ニュージーランドも自(おの)ずと手中に収められる。そうなれば神軍の半分を崩した事になり、南極軍の優勢は確定的となろう。
 超人軍はオーストラリア進軍に全軍の命運(めいうん)を託した。第三軍の半数を第二軍に合流させ、デーモンを事実上の指揮官に戴(いただ)いたのであった。

 新生第二軍は、豪州に進攻(しんこう)した。
 デーモンは空挺(くうてい)部隊に加わり、神軍の出城であるタスマニア島を、血戦(けっせん)を制して占領(せんりょう)したのである。
 神軍の天使数は、増加しつつある。人兵を主とした軍勢である内に、デーモンはオーストラリアを奪取(だっしゅ)せねばならない。息つく間も無く第二軍はバス海峡を越え、メルト(メルボルンのこと)に入っていく。
 メルボルンで、攻防戦が繰広げられた。デーモン軍は一週間の激闘後、メルボルンを攻略し、大陸制圧の拠点(きょてん)を得たのである。
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