超人戦争
サタンの熱弁に、天使達は圧倒されている。が、超人から最も被害を蒙(こうむ)っているオセアニア、南アメリカと現代通称される地界(ちかい)を領分(りょうぶん)とする二天使が、強硬(きょうこう)に超人討伐論を唱えた。
「超人は、父上の創作物ではない。種の創造は父上の専権(せんけん)であり、サタンのした事は明らかに越権(えっけん)行為である。神法を蔑(ないがしろ)にしたサタンの罪は重く、サタンの産なる超人は、この星から抹殺(まっさつ)されるべき異生物なのだ」
これに対しサタンは、
「超人は、今現に生きている。既に生活している者を、無に帰する事こそ悪魔の所業(しょぎょう)であろう」
と既成(きせい)事実を楯(たて)に、押切(おしき)ろうとした。
結局この会合では超人問題は決着せず、七日後神の決裁を仰(あお)ぐ段取りとなったのである。
神裁(しんさい)。それは全宇宙の創設者神によって下される、絶対の裁定(さいてい)である。神は超人問題に関し、如何なる結論を下すのであろうか。
神裁は十二天使会議の七日後、同じくタスマニア島で、十三時に開廷(かいてい)した。
太陽が降臨(こうりん)したかのような光華(こうか)が、十二天使の頭上に出現したのである。
「我が子らよ」
神声(しんせい)は響音(きょうおん)となっている。
「余の答えを述べよう。悪魔は滅すべし。サタンは自ら、その任に当たる事」
神の裁きは、余りにも明快(めいかい)だった。緊迫した雰囲気(ふんいき)の裁断場(さいだんじょう)内に、神音(しんおん)は鳴り響く。
「サタンよ」
「はい」
サタンは、澱(よど)みの無い声音(こわね)であった。
「明日より一月以内に、悪魔を絶滅せよ」
「はい」
「一月後の同時刻、此処に再び集結せよ」
「はい」
「はい」
十二天使は、確答した。
「では、一先ずさらば」
神明(しんめい)は徐(おもむろ)に、天(てん)際(さい)に上昇していく。
「超人は、父上の創作物ではない。種の創造は父上の専権(せんけん)であり、サタンのした事は明らかに越権(えっけん)行為である。神法を蔑(ないがしろ)にしたサタンの罪は重く、サタンの産なる超人は、この星から抹殺(まっさつ)されるべき異生物なのだ」
これに対しサタンは、
「超人は、今現に生きている。既に生活している者を、無に帰する事こそ悪魔の所業(しょぎょう)であろう」
と既成(きせい)事実を楯(たて)に、押切(おしき)ろうとした。
結局この会合では超人問題は決着せず、七日後神の決裁を仰(あお)ぐ段取りとなったのである。
神裁(しんさい)。それは全宇宙の創設者神によって下される、絶対の裁定(さいてい)である。神は超人問題に関し、如何なる結論を下すのであろうか。
神裁は十二天使会議の七日後、同じくタスマニア島で、十三時に開廷(かいてい)した。
太陽が降臨(こうりん)したかのような光華(こうか)が、十二天使の頭上に出現したのである。
「我が子らよ」
神声(しんせい)は響音(きょうおん)となっている。
「余の答えを述べよう。悪魔は滅すべし。サタンは自ら、その任に当たる事」
神の裁きは、余りにも明快(めいかい)だった。緊迫した雰囲気(ふんいき)の裁断場(さいだんじょう)内に、神音(しんおん)は鳴り響く。
「サタンよ」
「はい」
サタンは、澱(よど)みの無い声音(こわね)であった。
「明日より一月以内に、悪魔を絶滅せよ」
「はい」
「一月後の同時刻、此処に再び集結せよ」
「はい」
「はい」
十二天使は、確答した。
「では、一先ずさらば」
神明(しんめい)は徐(おもむろ)に、天(てん)際(さい)に上昇していく。