小春日和
「小春ちゃん?…冗談、でしょ?」
ギュっと閉じていた目を開けると、やっぱり眉をさげている日和が映った。
こんな顔をさせたいわけじゃないのに。
もう嫌だ。後悔ばっかりだよ…。
「冗談…じゃ、ない」
ここで冗談だよって言えば日和は笑ってくれるだろうか。
でも言えなかった。
「…ごめん、」
日和が私の横をスッと通り過ぎていった。
廊下を走って行く音がだんだん小さくなっていく。
私は頭が真っ白になってしばらくそのまま突っ立ていた。
日和の足音が聞こえなくなると私のなかで何かがプツンと切れて、膝がガクンと折れた。
床に座り込むと涙が溢れてきた。
「…ぅっ、うぅ……えっ…」
つぎつぎと溢れてきては私の頬を濡らす。
もう私たちは友達には戻れないんだ。
私は涙が枯れるまで泣き続けた。
知らなかったんだ。まさか誰かに見られてたなんて。
.