小春日和
階段を降りて一階まで行くと廊下の突き当たりにある保健室まで歩いた。
保健室に近づくと楽しそうな話し声が聞こえてきた。
日和…と、野田くん?
そっと開いていたドアから中を覗くと、やっぱり日和と野田くんがいた。
野田くんが日和の膝に絆創膏を貼っているところを見ると野田くんに消毒をしてもらったんだろう。
「ごめんね、寝てたのに…」
「いーのいーの。サボってただけだから」
ふたりの話し声。まだ私には気付いてないみたいだ。
そんなふたりを見ていると胸の奥がぎゅと苦しくなった。
「…小春ちゃん?」
日和が私に気付いたのかこちらを見て首を傾げている。
それに続くように野田くんも私の方を見た。
「あれっ笹本先輩どうしたんスか?」
「日和が転んだのが見えたから…そのっ…大丈夫?」
どうしよう、うまく話せない。
「ありがとう!大丈夫だよ」
パッと笑った日和をみて少し落ち着いた。
「じゃあ、それだけ…」
ふたりに軽く手を振って私はHRが終わったであろう教室に戻った。
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