涙の数だけ幸せになれる
体育館にはいるともう悠司先輩がいた。
龍先輩とらりーをしていた。
龍先輩とラリーをしてるのはいつもの事だ。

「聖羅ー?」
あたしは、悠司先輩を見ていたから弥生が心配して声をかけてくれた。
「何?」
「大丈夫?」
「何が?」
「いや、なんでもないよ!」
弥生はパッと笑顔になった。

あたしはギャラリーに荷物を置いている。
2年にならにと、下に荷物は置いちゃいけないらしい。
上からあたしは悠司先輩を見ていた。

見ていたらいきなり、目を塞がれた。
「だーれだ?」
「奏ー?」
「あったりー」
ぱっと手をはなした。
やっぱり奏だ。
指が細いからすぐわかった。

「なーにみてるの?」
いきなり突っ込まれた。
「えーっと、バスケ、バスケみてたの!」
「バスケかー、イケメンでもいた?」
「いないよっ!」
あたしはパニくって声が大きくなる。
「そう。」
そう簡単に言った。


この日は1年と2年のローテーションだった。
もちろん男女別・・・。
悠司先輩とできない・・・。
あたしは、一人テンションさがっていた。
その時だ。

コロコロとボールが転がってきた。
あたしはそれをつかんだ。
「聖羅ー」
そういって、手をあげるのは・・・
ゆ、悠司先輩!?!?!?
あたしはそのボールを下投げしてなげた。
「さんきゅ」

“さんきゅ”
この簡単な言葉でもあたしはうれしかった。
「なぁに二ヤケテルノ?」
友江先輩があたしのほっぺをつまむ。
「へつににあけへいまへんお」
別ににやけていませんよ
って言おうとしたのに、つままれててうまく言えなかった。
「あやしー」
にこっと笑う友江先輩。
でもあたしは下を向くことしかできなかった。
< 10 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop