涙の数だけ幸せになれる
うっ…
眩しい…

「聖羅…?聖羅!?先生、聖羅が!」
あたしはポカンとしていた。
「龍崎さん?わかりますか?」
あたしはコクりとうなずいた。
「貴方の名前は?」
いきなり医者に聞かれた。
あたしの名前は…
名前は…?
「わかりません」
それをいったとたん先生が顔色をかえた。

「貴方の好きないろは?」
「わかりません」
「血液型は?」
「すみません、わかりません」
「この方を誰だかわかりますか?」
先生がいってたこの方とはお母さんだったのだ。
でもあたしはどんなに考えても…
「わかりません。」
それしか言えなかった。

「お母さん、ちょっと…」
そういってあたしは一人部屋に取り残された。

頭には包帯が巻かれ、顔にはいくつかの傷があるからか肌がガサガサする。


あたしがボーっとしている中、親が部屋に戻ってきた。

「龍崎さん、貴方は記憶がなくなっています。」
記憶がない?
嘘…
あたしは真っ白のまま頷いた。
「貴方の名前は龍崎聖羅。中学一年生ですよ」
先生が教えてくれた。
そして先生はお母さんも紹介してくれた。

「貴方は強く頭をうった衝撃で記憶が飛んだんです。リハビリなどをして記憶を取り戻しましょう」
先生はなんでこんな事が言えるの?
記憶が戻る?
笑わせないでよ…
記憶がなくなったら取り戻せるわけがないじゃない。
無責任だ…

「聖羅がんばりましょうね」
お母さんがいった。
あたしはコクりと頷いた。
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