涙の数だけ幸せになれる
さよなら

福島へ

悠司さんが来てもう二週間がたった。
3日で帰るはずだったが何故か長くここにいた。
そして今日。
悠司さんが福島に帰ることになった。

海雪さんは悠司さんを駅まで車で送っていった。
あたしと海恋は後ろに座っていた。

悠司さんとはいろいろ楽しい事をした。
プールにいったり
肝試しをしたり
買い物をしたり
近所の公園で遊んだり

………
楽しい事がいっぱいあった。
もうこれから出来なくなるとなると悲しくて…悲しくて…
あたしはちょっぴり半泣きだった。

「おばさん、ありがとうございました」
悠司さんは海雪さんに頭を下げる。
「また来なさいね」
海雪さんはにっこり笑っていった。
「海恋、風邪引くなよ」
「わかってるよ」
海恋も笑っていた。
「聖羅、何くらい顔してんだよ」
そういってあたしにでこぴんした。
「いったぁ…」
あたしはおでこを押さえた。
「あはは、ごめんごめん★」
「ねえ?またくる?」
「うん。来年。絶対くるよ」
「約束ね」
そういってあたしは小指を出した。
悠司さんはほほえんで小指をからめてくれた。

そして…小指は離れ、悠司さんはホームへいった。


あの時あの小指を離さなかったら…
貴方はずっとあたしの傍にいてくれたかな…?
来年もこっちに来てくれたのかな?

神様はあたしに意地悪をしたんだよね。
幸せすぎるあたしに…

でもね、あの人だけは奪って欲しくなかった…
あの人だけは…
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