蒼い桜
しばらく華と考えていると、襖が開いて、誰かがやって来た。
『あぁ、目覚めたかい。』
優しそうな男の人にそう尋ねられた。
「あの…ここは何処なんでしょうか?」
『君、昨日のことを覚えていないのかい?』
「はい…。目が覚めたらこちらにいたので何も…。」
『そうだったのか。ここは新選組の頓所だよ。』
「新選組ですか。………えぇっ!?あの新選組?」
『そんなに驚くことかい?』
「いやだって新選組っていったら幕末…。」
もしかしてタイムスリップってやつなの?
「あの…今って何年でしたっけ?」
『今は元治元年だけど…。まさかそれも覚えてないのかい?』
元治元年って1864年だ。
やっぱり私達タイムスリップしちゃったんだ……。
「ちょっと混乱してて。私達、どうしてここに来たんでしょうか?」
『昨日の夜、君とその少女が門の前で倒れてたんだ。声をかけても起きないからこの部屋に寝かせておいたんだよ。』
「そうだったんですか!ご迷惑をおかけ致しました…っ!」
『いや、迷惑だなんて思ってないよ。何か事情があったのなら聞かせてもらえるかな?』