死霊むせび泣く声

第１７章

　　　　　１７
「マンションで死人が出たって、一体どういうことだよ？」


　俺が歩いて社に戻りながら、あえて高村や磯野相手に問いかけてみる。


「ああ、あのネタね。確か君のマンションの近くにある築十五年の古いマンションで、だよ。死体に日本刀みたいなものが突き刺さってたらしい」


「日本刀？」


「ああ。一度ネットで検索してみて。写真とかがその手の事件を扱うサイトにアップされてると思うから」


「分かった」


　俺は高村の言葉に頷き、午後からの業務があるので、社に向かって歩き続けた。


　何かが気になる。


　頭の片隅で。


　霊がウイルスのようなものを使って感染し、辺りにばら撒かれてるんじゃないかと。


　俺は平常心を装っていたが、実際怖いのである。