死霊むせび泣く声
 里夏も広報にいながら、常に社の顔として俺たち裏方が作った企画などを社長の松岡に伝えている。


 <今夜一緒に飲まない?俺、午後七時からだったら、近所のショットバーに行けるんだけど。都合が付いたらメールして。じゃあね>と打ち、里夏のメアド宛に送信した。


「折田」


「はい」
 

 部長職の辛島が声を掛けてくる。


 俺が作り掛けていたドキュメントをハードディスクに保存し、辛島のいるデスクに向け歩いていく。


「何ですか?部長」


「最近、面白い企画がないね。俺も正直なところ退屈してるんだけど」


 目の前にいてふんぞり返っている辛島は、毎朝出勤してきたらパソコンを立ち上げ、ニュースやブックマークしているサイトを見た後、買い込んでいた週刊誌を読み始めるのだ。


 仕事らしい仕事は一つも回ってこない。


 俺たちが先陣を切ってやっているから、辛島は何もしなくても、部下を監視し続けるだ
< 103 / 155 >

この作品をシェア

pagetop