死霊むせび泣く声
けで一日が終わるのである。


 まあ、給料泥棒と言えばそこまでだったが……。


 俺も高村も磯野も呆れていた。


 社長の松岡も辛島のことを暗黙裡に許しているらしい。


 俺自身、この手の人間と接するのが一番嫌なのだ。


 第一、会社に来てまともな仕事一つしないとなると、大いに問題がある。


 それに皆がろくに相手しないから、ますます窓際となってしまう。


 怠け者のレッテルを貼っているようなものだったし、俺も他の同僚社員たちも、まともに話をすることはまずない。


“手前はまともな仕事一つしないくせに、一体何様のつもりだ?”


 俺は喉元まで出掛かった言葉を引っ込め、あえて冷静に、


「多分部長に対して、我々の企画書からじゃ、真意が伝わってないだろうと思います」


 と言った。

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