死霊むせび泣く声
その日から数日後で、ちょうどその年の盆休みが終わり、一ヶ月前の夏の暑さがウソだと思えるようになった頃、俺はウイークデーに自宅で朝の支度をしながら、鏡を見て整髪する。
スタイリング剤で整髪した後、脂の浮いた顔に洗顔フォームを塗り、ジャブジャブと冷たい水で洗って、シェービング式のヒゲソリで髭を綺麗に剃り落とす。
そしてタオルで顔を拭き、ゆっくりと顔を上げて鏡を見ると、背後にニンマリと笑う甲冑姿の武者がいた。
「お前、また来たのか?」
「悪いじゃろうか?」
「もう来るなよ」
「拙者もあの夜とこの世の間を彷徨(さまよ)っておるのでのう」
今村武蔵介がそう言い、にじり寄ってくる。
手にはべっとりと血の付いた刀を握って、だ。
俺が、
「あれだけお払いしたから、もういい加減成仏してくれよ」
スタイリング剤で整髪した後、脂の浮いた顔に洗顔フォームを塗り、ジャブジャブと冷たい水で洗って、シェービング式のヒゲソリで髭を綺麗に剃り落とす。
そしてタオルで顔を拭き、ゆっくりと顔を上げて鏡を見ると、背後にニンマリと笑う甲冑姿の武者がいた。
「お前、また来たのか?」
「悪いじゃろうか?」
「もう来るなよ」
「拙者もあの夜とこの世の間を彷徨(さまよ)っておるのでのう」
今村武蔵介がそう言い、にじり寄ってくる。
手にはべっとりと血の付いた刀を握って、だ。
俺が、
「あれだけお払いしたから、もういい加減成仏してくれよ」