死霊むせび泣く声
「フゥー」


 思わず吐息が漏れ出た。


 次の瞬間、里夏の背後に武者の霊が二体現れ、それらが彼女の体に見事なまでに合体する。


 そして里夏の体を借り物にした霊が刀を持ち、


「お主を殺さねばのう」


 と言った。


「……な、何なんだ?」


 俺が訊き返すと、霊が、


「お主は我らの霊をバカにしておる。地獄に落ちてもらわないといかぬでのう」


 と言い、俺ににじり寄ってくる。


 カチャリという音がして、甲冑が揺れた。


 そして次の瞬間、俺は人生最悪の時を迎えた。

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