死霊むせび泣く声
 霊が刀を思いっきり振りかぶってきたのだ。


「わ、わっ、わー……」


 俺は体からまるでトマトジュースでもぶちまけたように、鮮血が流れ出たのが分かった。


 体が冷たくなっていくのが感じられる。


 里夏に取り付いた霊はまだニンマリと笑っていて、俺は最後の息をする瞬間まで、力が入らないのを感じた。


 そして息が出来なくなった頃、俺は死んだのだ。


 里夏の体から霊が浮遊し、彼女が、


「ど、どうしたの、和義?」


 と慌てて言う。


 すぐに救急車が呼ばれたのだが、俺はすでに事切れていた。


 もう俺はこの世にいない。


 死後の世界というものが仮にあるのだったら、どんな場所なのだろう……?

< 153 / 155 >

この作品をシェア

pagetop