死霊むせび泣く声
 と訊いてきた。


 俺が、


「水がどうかしたのか?」


 と訊いて、流しに近付いていき、蛇口を捻ると、無色透明の水が出てくる。


「何もないじゃん」


「そんなことないよ。確か、さっきは赤黒い水が出てた」


 俺は一瞬背筋が凍り付くのを覚えた。


 そして考える。


「このマンションには、やはり何かがあるんじゃないか」と。


 俺も里夏も真剣にお払いなどの手段を考え出す。


 放っておいたら、身に危険が及ぶのは間違いないのだから……。


 それに俺も警戒していた。


 確かにこの部屋には死霊が棲み付いていて、天井裏からこちらをじっと見ていると。
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