死霊むせび泣く声
第6章
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俺の住んでいるコーポ瀬戸川の二〇三号室に、やはり何かがあると怪しみ出したのは、不動産屋主任の岡村の態度が脳裏に浮かんできてからだ。
“あの部屋には何かしらの曰くが付いてる”
ハンドルを握って運転しながら、俺はいぶかしむ気持ちを覚えた。
だが、俺自体が今すぐにあの場所から引っ越せるとは思っていない。
それに俺もそのことを気に掛けながらも、いずれは霊が退散してしまうだろうぐらいに考えていた。
つまり俺自身の見立てが甘かったのだ。
俺は武者の霊が放っている霊気を感じ取れなかったのだが、里夏は案外霊感が強いらしい。
車の中で霊のことには一切触れなかったが……。
車が海岸へ向けて走り出す。
空は晴れていて、関東は梅雨に入る頃だった。
俺の運転する車は順調に走り続ける。
俺の住んでいるコーポ瀬戸川の二〇三号室に、やはり何かがあると怪しみ出したのは、不動産屋主任の岡村の態度が脳裏に浮かんできてからだ。
“あの部屋には何かしらの曰くが付いてる”
ハンドルを握って運転しながら、俺はいぶかしむ気持ちを覚えた。
だが、俺自体が今すぐにあの場所から引っ越せるとは思っていない。
それに俺もそのことを気に掛けながらも、いずれは霊が退散してしまうだろうぐらいに考えていた。
つまり俺自身の見立てが甘かったのだ。
俺は武者の霊が放っている霊気を感じ取れなかったのだが、里夏は案外霊感が強いらしい。
車の中で霊のことには一切触れなかったが……。
車が海岸へ向けて走り出す。
空は晴れていて、関東は梅雨に入る頃だった。
俺の運転する車は順調に走り続ける。