死霊むせび泣く声
「それは私でも出来るんですか?」


 ――ええ。単にお水とお塩を供えるだけでも、凶暴な霊は鎮(しず)まります。


「じゃあ、早速やってみますね」


 ――お願いいたします。では。


 小津原がしわがれ声で言ったのが気に触ったので、俺は乱暴な感じでガチャンと電話を切って、立ち上げていたパソコンに向かった。


「誰からだよ?」


 高村がからかったので、俺が、


「霊媒師の婆さんからだよ。俺の住んでるマンションは建つ前に河原があったんだって」


 と言い、黙々とキーを叩き始める。


「それってガセじゃねえの?」


 高村とは反対方向の隣のデスクにいた磯野がそう言う。


「俺もそう思うんだよ。霊媒師ってウソつきばかりだからな」

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