死霊むせび泣く声
俺がそう問うと、片方の霊が、
「今村武蔵介浩文にござる」
と言った。
追って、もう片方の霊が、
「某(それがし)、綾田伊予丞次郎でござる」
と言い、俺の方ににじり寄ってくる。
いつの間にか、縛られた紐は解かれていて、手には刀を持ったまま近付いてきた。
俺が、
「や、止めろよ」
と言うと、今村武蔵介が、
「おぬしにも地獄を味わっていただこう」
と返し、刀を差し向けてくる。
帰宅したばかりの俺は靴下が蒸(む)れているのを感じながらも、後ずさりした。
「今村武蔵介浩文にござる」
と言った。
追って、もう片方の霊が、
「某(それがし)、綾田伊予丞次郎でござる」
と言い、俺の方ににじり寄ってくる。
いつの間にか、縛られた紐は解かれていて、手には刀を持ったまま近付いてきた。
俺が、
「や、止めろよ」
と言うと、今村武蔵介が、
「おぬしにも地獄を味わっていただこう」
と返し、刀を差し向けてくる。
帰宅したばかりの俺は靴下が蒸(む)れているのを感じながらも、後ずさりした。