死霊むせび泣く声
 抱き合っていると、不意にケータイが鳴り出す。


「多分、この着信だと俺のだよ」


 俺がそう言い、充電器に差し込んでいたケータイを手に取って、フリップを開く。


 <この部屋の住人へ>という件名で、文章が続いている。


 <このメールを受信した人間は祟(たた)りに遭(あ)い、やがて死へと追いやられる。気を付けろ>とあった。


 差出人のところには<部屋に棲み付く死霊より>と記してある。


「誰から?」


「ああ、迷惑メールだよ。すぐに削除した」


 俺がウソをつき、フリップを閉じて、もう一度充電器に差し込んだ。


 そしてベッドサイドのテーブルに置いていた、幾分生温いビール缶を手に取り、中身を飲み干す。


 眠気が差してきたが、里夏が、


「今夜は眠らせないわよ」
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