引っ込み思案な恋心。-1st
その後は何とかやり過ごしたけど、さっきの出来事があまりに衝撃的で自分自身信じられなかった。
まさか、瀬川くんの麦茶を飲んじゃうなんて。
いつもの私なら、絶対にそんなことしないのに。
しかも……、もしかして、いや、もしかしなくても…間接キスってやつ……ですか?
「いや〜ぁ、かなり進んだなぁ。これも杉田のおかげか。マジで分かりやすいなあ。見直した!」
夕方が近づいてきて、『そろそろお開きにしよう』と瀬川くんが言うと、倉本くんが伸びをしながら私を見てそう言った。
「アンタ、柚に向かってマジ失礼だし!」
これに反応したのは、あゆ。
あかねちゃんもそれに続いた。
「そーよ。『見直した』ってことは、今まで見下してたってこと?やっぱあり得ないんだけどー」
「まあお前ら落ち着けよ。夏休みなのにケンカすんなよ」
そんな危なくなりそうな雰囲気を切ったのは、瀬川くん。
するとあゆはため息をついてからこう言った。
「まぁいいけど?悪気はないんだろうし。今日は良かったよ。1学期の復習もだいたいできたし。柚、ありがとう」
話を振られた私は、あゆに向かって首を横に振った。
「ううん。あゆも部活で大変なのに、よく時間作れたね?」
「今日はたまたま休みだったけど、あとはほとんど部活で埋まってるよ?来週から合宿だし」