引っ込み思案な恋心。-1st
すると、さっき黙り込んだと思われた倉本くんがまた口を挟んできた。
「夏休みも部活三昧かよ。ますます男らしくなるよな。多田って女の子らしいとことかねえの?」
「マジでアンタうっさい!!」
「私服とか、俺の予想通りだもんな。多田と馬場はパンツスタイルで、細井と杉田はスカート。この辺に既に違いが出てるぞー」
「だからうっさい!更にウザい!!いいのよ私は。このグループのエレガント担当はななっぺと柚なんだから」
ななっぺはかわいくて男子にもモテるから、エレガント担当でも納得できるんだけど…
いつから私はエレガント担当になってたんだろう?
そんなことを疑問に思いつつ、再び始まった倉本くんとあゆの口ゲンカを聞いていると………
「このままじゃマジで男子化しそうだなぁ。そうだ!恋しろよ、多田!!」
「は?恋?そんな余裕、全然ないんだけど」
「バスケ部にも男子のバスケ部があるじゃん?誰かいいヤツいないわけ?」
そういえば、あゆの恋愛話って全然聞いたことがないかも。
あゆはななっぺが告られた話とかは嬉しそうにするのに……、自分にはそういう話、ないのかな?
「いいヤツいたら紹介してほしいぐらいよ。…つーか、アンタの紹介じゃ、ろくな男じゃないだろうけど。それよか、倉本は好きな女子とかいないわけ?」
…ホントに好きな人いなさそう。
しかも、倉本くんに話振ってるし。