引っ込み思案な恋心。-1st
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気付いた瞬間に、答えなんてとっくに出ていた。
だって、その証拠に、本当だったら学校に行かなくて嬉しいはずの夏休みがこんなにも寂しいと思ってしまうんだから。
「もぉ〜〜、ちゃんと映美佳に連絡しといてって言ったのにぃー」
いつの間にか夏休みの大半が過ぎ去って、8月の下旬。
私は母校のM小近くの喫茶店にいた。
そして私と同じテーブルに着いて話をしているのは、あかねちゃんと映美佳。
「私、柚から話を聞いたの、昨日の夜だよ?」
「それは、全然柚から連絡無かったから、昨日の夕方に私が柚に電話したの」
「………ごめんね、あかねちゃん」
この前の勉強会の帰りに、あかねちゃんは映美佳とも一緒に遊びたいと言っていたのに、私はその話を完全にスルーしてしまった。
…というか、あかねちゃんの話が耳に入ってなかった。
ずっと、あの日起こった出来事…
瀬川くんを意識してしまった故に失敗してしまったこと
更に瀬川くんに好きな人がいることを知り、その相手が誰なのかをグルグル頭の中で考えていたから。
その末にたどり着いた答えが、『瀬川くんに恋をしている』ことだったなんて。
私は、目の前のアイスティーに手を付けることなく小さい声であかねちゃんに謝った。
すると、腕を組んで頬を膨らませていたあかねちゃんは、途端に優しい笑みを浮かべた。