引っ込み思案な恋心。-1st
「もーいいよ。あの時柚、またボーッとしてたもんね。何となくだけど聞いてない気がしてた」
「え!?」
また、ボーッとしてたことがバレてる!?
しまったという顔をうっかりしてしまった私を見て、映美佳は何か気付いたようだった。
「そっか。私だけ別のクラスだから、連絡先が分からなかったんだね?だったら番号教えるよ。私、携帯持ってるんだ」
そう言いながらバッグから携帯を取り出した映美佳に、あかねちゃんは目を輝かせた。
「えっ、携帯!?い〜な〜、うらやましい♪うち、親から反対されてるんだよねー。『高校になるまでダメ』だって」
「う〜ん、確かにまだ周りで持ってる子、少ないんだよね。柚も持ってないもんね?」
「うん」
私は映美佳に頷いて、アイスティーにシロップを注いだ。
私の隣に座っていた映美佳は、バッグから更にメモ帳とシャーペンを取り出して、自分の連絡先を書き始めた。
「…はい。家電も一応書いといたけど、メインは携帯でOKだよ。メールも……、もしパソコンあったら送ってね」
「ありがとー!!うれしー。やっぱり直通の電話っていいよねー。私、もう一回親に頼んでみようかなー」
映美佳からメモを受け取ったあかねちゃんは、嬉しそうにその連絡先を目でたどっていた。