引っ込み思案な恋心。-1st
「でもさ、この辺に来るのって、卒業して以来だよね?」
外は暑いのに、何故かあったかいキャラメルラテを頼んだ映美佳は、スプーンでカップの中をクルクル回しながら外の様子を眺めた。
「うん。私も全然来てなかった。M小見た時懐かしい感じがしてさ、もうそんなに時が経ったんだな〜って思ったよ」
映美佳からもらったメモを丁寧に折って自分のバッグにしまったあかねちゃんも、映美佳と同じように外の様子を見ながら氷の浮かんだオレンジジュースを一口飲んだ。
「数か月前までランドセル背負ってここに通ってたのも、昔の気がしてきたよ」
フフッと笑った映美佳は、隣に座っていた私の顔を見た。
「柚もだいぶ成長したよね」
「…そうかな?」
すると、映美佳の前に座っていたあかねちゃんが笑い出した。
「はははっ。ホント、映美佳って柚の親だね〜」
「そうだよ。柚は本当に心配だよ。頭いいのに他は全然しっかりしてないんだから」
「もぅ、映美佳ひどいよー」
私が映美佳に反撃しようとすると、あかねちゃんは更に笑った。
「でも柚にはこういう友達が必要なんだねぇー。私も映美佳見習おうっと」
「あかねちゃんまで〜」
「よろしく頼むね、あかねちゃん」
映美佳まで笑い出して、私はおとなしくアイスティーを飲むしかなかった。