引っ込み思案な恋心。-1st
「……あー、やっぱり映美佳と柚のやり取り、面白いな〜。ちょっと私、トイレに行ってくるねぇ」
まだ笑いをこらえきれない感じのあかねちゃんは、口を手で押さえながらバッグを持って席を立った。
…すると。
さっきまであかねちゃんと笑っていたはずの映美佳が急に静かになって私に顔を向けてきた。
驚いた私も、映美佳の顔を見た。
映美佳の視線はとても真剣で、私は思わず目をそらしそうになった。
「ちょっと、柚」
「……何?」
けど、映美佳がそれを許してくれるわけない。
私は映美佳の両手に顔を挟まれ、映美佳の顔を真っ直ぐ見ざるを得ない形になった。
「………何かおかしい」
「…おかしい?」
映美佳の顔が更に真剣になる。
わ、私…
映美佳に何かしたっけ?
そりゃあ、連絡しなかったのは悪かったけど……
「あかねちゃんの目はごまかせても、小3から友達やってる私の目はごまかせると思わないでよね」
「だから、何?何の話??」
すると、映美佳は急に私の顔から両手を離した。
「柚は前からボーッとしてるトコあったけど、最近それがひどいよ?これってさあ、もしかして………というか、絶対の確信があるんだけど」
「…映美佳?」
しかも…映美佳の顔がかなり近いんだけど!!!
「…恋、……してるでしょ?」
「……………ひぇ!?」