引っ込み思案な恋心。-1st

―――――
――








「はよーっす、杉田!」






入学式から半月。



なぜか私に話しかけてくる人は……、隣の席の瀬川くんしかいない。





「お、おはよ……」





いつも通り、瀬川くんはテンションが高い。





私は毎度その元気に圧倒されながら小声で挨拶をする。







入学式の日に一言返し&オウム返しを繰り返してしまい、完全に瀬川くんをがっかりさせたと思っていたんだけど……





瀬川くんは翌日以降も、何もなかったかのようにハイテンションで私に話しかけてくる。





けれど私は相変わらず、このクラスに慣れずにいた。





女子の仲良しグループは、完全に固定されてしまったみたい。





今年も見事にどこのグループにも所属できなかった私は、静かに本を読みながら休み時間をやり過ごすしかなかった。





< 11 / 243 >

この作品をシェア

pagetop