引っ込み思案な恋心。-1st
「うわー。誰もいないーーー!!」
一番に駆け出したのは、あかねちゃん。
「あっ、ジャングルジム!!あれ登ろうよー」
「ちょっとあかねちゃん、はしゃぎ過ぎ!!」
「映美佳!いいから早く!!柚ーー!置いてくぞぉー」
映美佳も私もあかねちゃんに続いて走り出したけど、私は走るのが遅くて、結局二人に離されてしまった。
私がジャングルジムに着いた頃には、映美佳とあかねちゃんはそのてっぺんまで登っていた。
「ゆーーずーー!!遅いーー!」
「ここ、見晴らしいいから早くおいで!」
え…?
コレ登るの?
…ていうか、今まで気付かなかったけど、このジャングルジム、こんなに大きかったっけ?
とりあえず私はジャングルジムの中に入り込んで、そこから真上に向かって登り始めた。
登り始めて、思った。
…そうだ。
私、遠くからジャングルジムを見るばかりで、登ったことがなかったんだ。
クラスに、一緒に登ってくれるような友達がいなかったから。
頂上に登る頃には、腕や足の力を使い過ぎてクタクタになった。
「いらっしゃ〜い、柚♪」
「もうすぐ夕日が沈みそうだよ」
「え?」