引っ込み思案な恋心。-1st





すると、暗がりの中で映美佳が微笑んだ気がした。





「私は柚の親みたいなもんだからさ、それに友達として心配なんだよ」






ああ…そうか。



なんか、素直にそう言われると、少し嬉しくてくすぐったい気持ちになる。





こんなこと、あんまり言われたことがないし。






「大丈夫だよ。私、柚と同じクラスの友達には何も言わないから。でもせっかく好きになったんだからさ、もったいないことしちゃダメだよ?」



「もったいないこと?」



「うん。柚はダメだと思ったらすぐに引っ込んじゃうんだから。せっかく好きになったなら、自分の気持ちを殺さずに頑張ってみなよ」






映美佳なりの励ましだったんだろうけど。





確かに私は、友達作りでも何も言えなくて苦労してしまう。





だからきっと、恋でも同じことが言えてしまう気は薄々感じてた。






初めは認めることすらためらった気持ちだったけど、映美佳に言われて、とりあえずまずは自分の気持ちを大切にしようと心に誓った。








あの勉強会以来、半月ほど瀬川くんには会えなかったし、もちろん連絡も取れなかった。





いつもの年なら、学校に行かなくて本当に嬉しい期間なんだけど、初めて学校がないことが寂しいと思った。






私の中で、こんなに瀬川くんの存在が大きくなっているとは思わなかった。






今日も瀬川くんの姿が見れなくて寂しいと思っていたけど……





映美佳に瀬川くんのことを話すことで、私の中に少し、ほっこりと温かい気持ちが戻ってきたような気がした。












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