引っ込み思案な恋心。-1st
「…つうかさぁ、何で倉本がうちらんとこにいるのよ?」
テントに帰ってきたななっぺは、私とあかねちゃんと倉本くんという不思議な組み合わせに驚いていた。
「え?いや、さっきまで拓もいたからその流れで……」
「まあいいけどさ、応援の邪魔だけはしないでよね」
「はははっ。ななっぺ、まだむかでの恨みを根に持ってるね〜」
豪快にあかねちゃんが笑ってその場を取り持ったけど、ななっぺは私達3人に倉本くんが加わっていることをあまり良く思っていないみたいだった。
「でも、練習よりも上手くいってなかった?なあ、杉田」
「えっ、私?」
「ああ〜〜、もう!柚に振るな!!困ってるでしょ」
ホントだ……。
ななっぺ、愚痴りたい勢い全開でイライラしてる……。
「ほら、もうリレー始まるよ!応援しよーよ!!」
あかねちゃんにそう言われてグラウンドの方向を見つめると、軽快な音楽と共にリレーの選手たちが入場門をくぐっていた。
この時点で、うちのクラスは1年の5クラス中、2位。
でも、リレーで充分一発逆転狙える位置に付けている。
ほどなくして、スタートラインにあゆ達第1走者が出てきた。
「あっ!あゆーー!頑張れ!!」
それまで倉本くんにグチグチ言い続けていたななっぺも、あゆを見て応援モードに切り替わった。