引っ込み思案な恋心。-1st

「瀬川くーん！頑張って！！」






気付けば、大きな声で叫んでいた。





自分でも、こんな大声出すのは久しぶりな気がした。





でも周りも盛り上がっているし、きっと私の言葉なんてかき消されたに違いないのに…








次の瞬間、瀬川くんの走るスピードが更に速くなった気がした。





そして、３位、２位のアンカーを次々と抜いて行った。





「すごい！今２位だよ！」



「このまま１位！そして優勝ぉーー！」



「拓！抜けーー！」





それを見たななっぺ達は、更に大きな声を張り上げた。





そのスピードで、瀬川くんがようやく１位の選手に追いついた。









……その時、１位の選手がゴールテープを切った。








「あ〜〜、やっぱりダメだったかぁ」





あかねちゃんがガックリと肩を落とすと、ななっぺがあかねちゃんの背中をポンポンと叩いた。





「でも二人抜きはかなりすごかったよね」



「さすが拓だったよな〜」





ななっぺに続き、倉本くんも腕を組みながら深く頷いた。





「あっ、柚の応援効果じゃない！？最後の最後に柚の大声が出たもんねぇ〜」



「え？私？」





あかねちゃんに言われて、少し胸がドキッとした。





あんなの、絶対聞こえてるわけないって……。







とか思いながら、本当は聞こえていたらいいなとか思っていたり。。。