引っ込み思案な恋心。-1st
05☆苦シイ想イ

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「杉田ぁ。どこの席になった?」



「え?……真ん中の前から2番目」






体育祭が終わってしばらく経ち、10月になった。





毎月恒例の席替えが行われ、新しい席が決まった直後に隣の席の瀬川くんから話し掛けられた。





「マジかよ!?まあ一番前じゃないだけマシかぁ。俺はなあ、廊下側の一番後ろ」



「そっかあ、いい席だね」



「そーかぁ?」



「だって、一番後ろでしょ?」





代わって欲しいくらいのいい席をゲットしているはずなのに、瀬川くんは何故か不満そうな顔をしていた。





「まあ…そうなんだけど、俺は………」





何か瀬川くんが言いかけた時、瀬川くんの前の席のななっぺが急にこっちに振り向いてきた。





「瀬川、廊下の一番後ろ?マジで?私、隣だよ」



「「え!?」」






そうなんだ…。



瀬川くんとななっぺが隣同士かぁ。






でも、瀬川くんと離れるなんて、ちょっと残念だな。





色々話し掛けてもらったし、結構楽しい1か月だったから。






「ななっぺも後ろってことだよね?いいなー。うらやましい」



「でしょでしょ?ゆずらないからね〜♪」



「つーか、細井が隣かよ。…多田よりかマシか」



「あー!今の発言、あゆにチクるよ!!」






この3人での会話も、もうないってことなのかな?





ななっぺが近くの席で、結構安心できたのに。








みんなガタガタと自分の机を新しい席の位置へと移動を始めた。





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