引っ込み思案な恋心。-1st





「何言ってんだ、瀬川。お前ホントにひどかったから、一回かあちゃんに怒られてこい」



「最悪、うのっち」



「てめえ、『宇野先生』だろーが!何べん言ったら分かる!?」






宇野先生が瀬川くんに注意すると、クラスからどっと笑い声がこぼれた。





「はいはい、騒がない!おい、男子1番!!」





それでも宇野先生はクラスを注意しながら成績表を配り始めた。










4月も下旬になると、だいぶクラスのよそよそしい雰囲気がなくなってきて、本当のこのクラスの『色』というものが分かってくる。





うちの1年4組の場合……



瀬川くんが仲のいい男子数人とクラスを明るい雰囲気にもっていっている感じに見えた。





瀬川くんは男子ほぼ全員と話せるみたいだし、女子も何人かの明るい人とは話すみたい。





さっきみたいに宇野先生にタメ口でつっかかっていくこともしょっちゅう。





まさに、1年4組のムードメーカーになりつつあった。





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