引っ込み思案な恋心。-1st





本気で怒っていた訳ではないらしい映美佳は、怒っていた顔をすぐに引っ込めて、少し穏やかな表情をした。





「…何か、吐き出したい愚痴があるんじゃない?」



「…私が?愚痴??」





でも映美佳の言っていることがよく分からなくて、私の頭の中は『?』でいっぱいになった。






すると、映美佳は意を決したように話し始めた。






「…柚がそう簡単に口を割るわけないか。むしろ、本人すら気付いてないかもしれないし。…じゃあさ、私の聞くことに正直に答えてね。いい?しょーーーじきに、よ?」






いつにも増して、映美佳の顔が怖いんだけど…?





しかもそれが私の目の前まで近付いてきてるし。






「あのさ、好きな人とのことなんだけど、何か進展あった?」



「え!?」





せ、瀬川くんと!?




何でいきなりそんなこと???






「えー…と、、、特に何も…」



「ふーん。じゃあその人の隣の席の人は?」



「え?ななっぺ…?」





何で、今、ななっぺのことを…?





てか、何で映美佳がななっぺのこと知ってるの?





「ななっぺ??柚の友達?」



「うん。あかねちゃんと、もう一人あゆって友達と大体4人で行動してるから…」



「あ、そうなんだ?でさ、ななっぺって子はどんな子?」



「どんな…って、優しくていつも気にかけてもらってるよ?」






ようやく映美佳が一歩後ろに下がってくれたけど、まだ映美佳は難しい顔をしていた。






「…ななっぺが、どうかしたの?」



「ん?いやさ、柚の友達だと思わなくて。その、ななっぺってさ、好きな人とかいるの?相談されたこと、ある?」



「ううん。彼氏とかはいないみたいだよ。すごく可愛くて男子にモテるらしいのに、全部断ってるんだって」



「え!?」






あれ?



何で映美佳、そんなに驚いてるんだろう…?





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