引っ込み思案な恋心。-1st
「すごく、嬉しそうな顔をしてた。瀬川と話せる接点が持てて、嬉しくて、楽しくて仕方ないって顔。あれは、どう見ても恋してる顔だよ」
「うそ……、うそだよ…」
これ以上、聞きたくない。
聞かなくても、映美佳の言いたい事が分かる。
私は、耳をふさいでその場にしゃがみこんだ。
「絶対うそだよ。ななっぺが…、そんなわけない」
もしかしたら、私、予感していたのかな?
だから、ななっぺと瀬川くんが話しているところを見たり聞いたりするだけで胸が痛んだの……?
気付くと、私の目の前に水色のハンカチが見えた。
ゆっくり目線を上げると、私と同じように身をかがめた映美佳が、心配そうな表情で自分のハンカチを差し出していた。
私は、耳をふさいでいた手をゆっくり外した。
「…ごめん。泣かせるつもりなんてなかった。けど、ホントにななっぺのことを友達だと思ってるならさ、ちゃんと本人に好きな人がいるのかどうか聞いた方がいいと思うんだ」
映美佳の言葉で、私は涙を流していることに気付いた。
いつの間に、泣いていたんだろう…?
「ほら、これ使って?返すの、いつでもいいから」
「うん……」