引っ込み思案な恋心。-1st
「やっべぇ!!やっぱ超悪いし!」
瀬川くんが成績表を自分の席で開いてすぐ、そんな大声が隣から聞こえてきた。
これからみんなで成績の見せ合いとかするんだろうな…。
また瀬川くんの周り、うるさくなりそう。
私はそんなことを思いながら、窓の外をぼんやり眺めていた。
流れる雲の動きを見ていたら、いつの間にか時間は経っていたらしい。
「…た。……杉田!」
「は、はいっ」
宇野先生に呼ばれたことにようやく気付き、ぼんやりモードだった私はロボットのようにスクッと立ち上がってしまった。
それを見ていた隣の席の瀬川くんは大笑い。
「やべー、杉田、おもしれー。ぶくく……」
すると、瀬川くんの周りにいた人々も、クスクスと笑い始めた。
は、恥ずかしい…。
また注目を浴びてしまい、私はうつむきながら宇野先生のところへ早歩きをした。
素早く宇野先生から成績表を受け取り、自分の席へ戻る。
成績表を机の中に隠しながら、そっと開いてみた。