引っ込み思案な恋心。-1st
休み時間、誰かが換気のために、後ろの方の窓を開けていた。
容赦なく教室に入ってくる冷たい空気。
それが、私とななっぺの間にも吹きすさんでいるように見えた。
「……杉田ぁー」
「え?」
不意に後ろから私を呼ぶ声が聞こえて、私は声のした方に振り向いた。
「あ、瀬川くん……」
休み時間だけど、ななっぺは自分の席に座って次の授業の準備をしているようだった。
…私と瀬川くんの話しているところなんて、ななっぺはもしかしたら聞きたくないかもしれない。
私の気持ちをななっぺが知ってるかどうかは分からないけれど、振られた人が自分の友達と話してるなんて、私なら耐えられない気がしたから。
「さみぃよなー。…てかさ、もうすぐ冬休みだろ?」
瀬川くん、どうしたんだろう…?
瀬川くんの隣の席を離れてから、朝と帰りの挨拶以外はそんなに会話がなかったから、逆にいきなり話しかけられて、私は驚きと戸惑いが隠せなかった。
「冬休みと言えばクリスマスと正月……」
「クリスマスはギリギリ冬休みじゃないよ」
「かてえこと言うなよ、杉田。でな、俺、クリスマスプレゼントにゲーム買ってもらう約束を親としてたんだけどな、」
しかも…
普通に他愛もない会話なんだけど。。。