引っ込み思案な恋心。-1st
「ごめん、柚!お待たせー」
「あかねちゃん…」
放課後になり、教室の出入口で瀬川くんとの挨拶を済ませた私は、靴箱であかねちゃんを待っていた。
私達が分裂してから、あかねちゃんとあゆは放課後、みんなからは見えない所に隠れて、お互いの状況を伝え合っていた。
…今日は少し長い気がする。
やっぱりななっぺの近くで私と瀬川くんが話していたから、ななっぺの気分を害しちゃったのかな……?
…とか思っていたら、あかねちゃんが早足で手を振りながら靴箱に現れた。
「何か色々あったみたいでね。まあ追々話すから、とりあえず帰ろー」
「うん…」
知るのが怖い。
けど、元の4人組に戻るためには、ななっぺの気持ちを知らないといけない。
私は少し重い足取りで、あかねちゃんと校門をくぐって帰路についた。
「今日、瀬川が話し掛けてきたんでしょー?」
「あ、うん……」
やっぱりななっぺに聞こえてたんだ…。
どう思っただろう?
「…瀬川の気持ちがよく分かったって言ってたらしーよ、ななっぺ」
「えっ!?」
もっと嫌な気持ちを抱かれると思ってたのに…。
なんで?