引っ込み思案な恋心。-1st
「あゆとも話してたんだけどねぇ、瀬川、またみんなで一緒に勉強会がしたいって言ってたんでしょー?それって、もちろん柚に一番に伝えたかったかもしれない。だけど、暗にななっぺにもそれを伝えたかったんじゃないかな…って」
「ななっぺにも…?」
「うん。だったら何でわざわざななっぺの近くでそんな話するんだって感じになるじゃん?本当に柚だけに伝えたいなら、呼び出してななっぺから離れて話すことだってできたはずでしょー?」
「あ……」
確かにそうだ。
瀬川くんは、わざとななっぺに聞こえるように話してたんだ。
「ななっぺもそれに気付いてたみたい。だから、瀬川の本当の気持ちが分かったって……」
自分から振っておいて、今さら勉強会がしたいなんて言えるわけないから。
本当に瀬川くんは、恋とまでは言えなかったけど、友達としてななっぺのことを大切に思っていたんだ……。
「あのさぁ、明日、合唱部の活動が休みなんだって。だから、ななっぺが柚と二人で話したいって言ってた。…もし柚の気持ちの準備ができていればの話だけど……」
「うん!私、ななっぺと話したい」
ななっぺの、本当の気持ちが知りたい。
ただ、それだけだった私の想いがこんな事態を引き起こしてしまった。
最初からななっぺにぶつかっていけば良かったんだ。
そしてこうなってしまった今、ななっぺから声をかけてくれた。
私はそれに応えなければならない。
私も、自分自身の抱えている、本当の想いをななっぺに伝えるんだ。
そしたら……、
ななっぺの本当の気持ちも、きっと聞けるよね……?
――
―――――