引っ込み思案な恋心。-1st
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「…柚、ごめんね。せっかくの放課後なのに呼び出しちゃって」
「ううん!私もななっぺと話したかったから」
「……1か月ぶりかな。何か、すごく長かった」
「そうだね。私もこんなことになってから、とても苦しくて長く感じた」
翌日の放課後。
私とななっぺ、二人きりの教室。
私達の他には誰もいなくなった広い教室は、ドアの隙間から冷たい風が入ってきて、ひんやり寒い空間になった。
「あのさ、昨日柚と瀬川、話してたでしょ?あれ聞いて、このままじゃいけないと思ったの」
「…うん」
ななっぺの表情は、思いのほか穏やかだった。
何言われるかと思って、覚悟してた部分もあったのに……
「私だけが、瀬川に振られた時のまま、ずっと止まってた。みんなの前で告って振られてさ、何かカッコ悪いなって思ってて」
「そうだよね、ショックだよね……」
「でも柚の言葉を聞いて、確かにそうだなって思ったの」
「え?私??」
「うん。後から真実を聞かされるより、今ハッキリと言ってもらった方がいい…みたいなこと、言ってたでしょ?」
あ…
そう言えば、瀬川くんも同じこと言ってて、それに同調した感じで言ったつもりだったんだけど…
まさかそんなところを聞いてたなんて。