引っ込み思案な恋心。-1st
「俺さ、だいぶ前だけど、杉田に好きなヤツがいるかどうか聞いたことあるだろ?」
「え、あ……、うん…」
確か、体育祭の時だった。
たまたまうちのクラスの応援テントで、お互いの友達がいなくなった時に二人になった。
その時に瀬川くんに、好きな男子がいるかどうか聞かれたけど……
私は何も答えられなかったんだ。
「…俺、気になるんだ。杉田の好きなヤツ。いや、違う。ホントは俺、杉田が気になって……」
「え?」
瀬川くんが頭を掻きながら下を向いたのが分かったけど、辺りが暗くて、瀬川くんの表情までは見えなくなった。
「お、俺、………杉田が好きなんだけど!」
一瞬、瀬川くんの言った言葉の意味が分からなかった。
だけど、何回か頭の中で繰り返すうち、やっとその意味にたどり着いた。
そこまで、たぶん5秒はあったかもしれない。
瀬川くんがずっと好きだった人って………、私のことだったの!?