引っ込み思案な恋心。-1st
「……え!?うそっ!?」
「う、うそじゃねーし」
「あっ、そう…だよね。えーっと……」
返事をしなきゃいけない。
頭では分かってる。
『私も好き』
ただ、そう言うだけでいいんだ。
自分の想いが叶うんだから。
でも……
口を開けようとした途端に、たくさんの人の顔が浮かんだ。
映美佳、あかねちゃん、あゆ………
それに、ななっぺ。
ななっぺのことが浮かんだ瞬間、私は開きかけた口を自然に閉じていた。
ななっぺ、今日の勉強会はいつものななっぺで、余裕すら感じた。
でも、瀬川くんの好きな人が実は私で、もし私と瀬川くんが付き合うなんてことになったら……?
ななっぺがそのことを知ったら、どう思うんだろう…?
「…ごめん。唐突すぎたって、自分でも分かってるから。返事は冬休み明けてからでいいや」
「せ、瀬川く……」
「ホントごめん。何かさ、杉田とはなかなか二人になれなかったから、こんな時ぐらいしかチャンスねーよなぁとか思ってて。俺、焦ってたのかもな。俺、バカだから、杉田の気持ちとか考え切れなくて……」
「そんなこと……」
私が、ためらったから。
けど、ななっぺのことなんて、ないがしろにできない。
どんなに『復活した』って口で言っても、自分でさえ気付いてない影が残ってたりするもんなんだよ……。
ななっぺを裏切れない。
とにかく今すぐに返事できないことを謝ろうと思った…
その時だった。