引っ込み思案な恋心。-1st
「あっ!柚ーー!!」
「おーい、柚!大丈夫!?」
「……え!?」
遠くから、私を呼ぶ大きな声が聞こえてきた。
「…あれ?馬場……か?」
瀬川くんも遠くからの声に気付いて、その声のする方に目を凝らした。
すると、だんだん大きくなっていく、2つの影。
わずかな街灯に照らされて、その影の正体が姿を現した。
「あっ、映美佳とあかねちゃん!!」
「ちょっと柚ぅ、心配したんだよー。大丈夫なの!?」
二人もやっと私達の姿を確認して、一番にあかねちゃんが私に駆け寄ってきた。
「ごめん、あかねちゃん。私、途中で倒れたみたいで……」
「そーだよ!みんなすごい心配したんだから!!帰ったんだけどやっぱり気になって、映美佳に電話して一緒に迎えに行こうってことになったんだー」
「あかねちゃんから電話来た時、本気でびっくりしたよ。携帯持ってて良かったぁ。ちょうどお母さんから頼まれて、お使いの途中だったから。……で?」
映美佳の視線は、私から瀬川くんの方へ。
…そうか。
映美佳は別のクラスだし、瀬川くんとも数えるほどしか会ったことない…ハズ。
しかも今は暗闇の中だから、たぶんお互い顔もそんなによく分からないだろう。